一般社団法人 日本化学工業協会 English
【LRI】一般社団法人 日本化学工業協会
研究者の皆様向け
採択研究者
概 要
・日化協LRI賞:日本毒性学会
受賞者
 
日本動物実験代替法学会 「第11回 日化協LRI賞」 研究受賞者決定  
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:橋本修(三井化学�蠡緝充萃�役会長)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本動物実験代替法学会(理事長:酒井康行)内に設けられた日化協LRI※1 賞の第11回受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、2026年11月13日(金)〜11月15日(日)にアクリエ姫路で開催される日本動物実験代替法学会 第39回大会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 前田 和哉  (まえだ かずや)
北里大学薬学部 薬剤学教室・教授
[テーマ] Development of the serotonin release assay with enterochromaffin cell-rich human intestinal organoids for the risk evaluation of drug-induced emesis
[受賞理由]受賞者は、従来大動物での評価が必須であった薬物誘発性の末梢性悪心・嘔吐リスクを、ヒト小腸幹細胞由来の新規in vitro実験系により高精度に予測・評価する独創的な動物実験代替法を開発されました。本成果は、米国毒性学会誌(Toxicological Sciences)のTox Spotlightに選出される等、国内外で高く評価されています。この研究は、化学物質のヒトへの有害事象を種差の壁を越えて予測・評価するものであり、化学物質がヒトの健康に与える影響の評価手法向上を目指すLRIの趣旨に合致します。学会活動を通じた代替法普及への貢献も大きく、今後の本分野における益々の活躍が期待される研究者です。
日本毒性学会 「第12回 日化協LRI賞」 研究受賞者決定
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学�蠡緝充萃�役会長)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:広瀬明彦)内に設けられた日化協LRI※1 賞の第12回受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、2026年7月1日(水)〜7月3日(金)にグランキューブ大阪で開催される第53回日本毒性学会学術年会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 李 辰竜  (り じんよん)
愛知学院大学 薬学部 公衆衛生学講座・准教授
[テーマ] カドミウムの毒性発現における細胞内転写経路の関与
[授賞理由]受賞者は、DNA マイクロアレイやProtein/DNA アッセイを駆使して、カドミウムによって発現変動する新規の遺伝子および活性変動する新規の転写因子を複数同定することに成功し、これらがカドミウム腎毒性発現に深く関わっていることを国内外に先駆けて明らかにしました。また、カドミウムが、十二指腸において、鉄輸送体遺伝子の発現抑制を介して鉄の吸収を阻害することにより、鉄欠乏状態を引き起こすことも新たに見いだしました。さらに、ごく最近、ビタミンA 誘導体であるレチノイン酸がカドミウム毒性軽減効果を示すことも明らかにしました。このように、これまでその糸口すら見いだされていなかったカドミウムの毒性発現分子機構を解明するなど、優れた研究成果を挙げています。
日本動物実験代替法学会 「第10回 日化協LRI賞」
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学�蠡緝充萃�役会長)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本動物実験代替法学会(理事長:板垣 宏)内に設けられた日化協LRI※1 賞の第10回受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、2025年11月1日(土)〜11月3日(月)にパシフィコ横浜で開催される日本動物実験代替法学会第38回大会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 福田 淳二 (ふくだ じゅんじ)
横浜国立大学大学院工学研究院・教授
[テーマ] Establishment of a developmental toxicity assay based on human iPSC reporter to detect fibroblast growth factor signal disruption
[受賞理由][授賞理由]受賞者は、化学物質の発生毒性を評価できる動物実験代替法の開発に取り組んでおり、シグナル攪乱の動的な変動を指標とするという独創的なアプローチを提案している。具体的には、四肢の形態形成に不可欠な線維芽細胞成長因子(FGF)シグナル伝達経路の変化を検出することを目的とした、ヒト誘導性多能性幹細胞(iPSC)を活用したレポーターアッセイを提案している。本法により、四肢奇形を引き起こすことが確認されている化学物質につき、良好に発生毒性の判定ができている。
このように、受賞者は、化学物質の毒性試験における動物実験代替法の開発を精力的に進めており、今後も、実験動物の削減や化学物質のヒト健康影響評価の高精度化などにおいて、益々の活躍が期待できる研究者です。
日本毒性学会 第11回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学�蠡緝充萃�役社長)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:広瀬明彦)内に設けられた日化協LRI※1 賞の第11回受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、2025年7月2日(水)〜7月4日(金)に沖縄コンベンションセンターで開催される第52回日本毒性学会学術年会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 田口 恵子 (たぐち けいこ)
東京大学大学院 農学生命科学研究科・准教授
[テーマ] 環境化学物質の毒性研究から紐解かれた生体の防御システム
[受賞理由][授賞理由]受賞者は、活性酸素種を過剰に産生する大気中微小粒子成分であるキノン化合物の解毒代謝経路に関する研究を起点として、解毒代謝酵素の発現を制御する転写因子NRF2の機能に興味を抱き、様々な知見を明らかにしています。具体的には、遺伝子改変動物を用いた研究により、環境ストレスに対するKEAP1-NRF2システムの重要性、特に、NRF2の活性制御におけるKEAP1の発現量の重要性を明らかにしました。さらに、がん細胞はこの生体防御システムを巧妙に利用しており、恒常的にNRF2が活性化すると、がん細胞の生存に有利に働くことを示しました。これにより、異物としての抗がん剤に抵抗性を示す「NRF2活性化がん」の概念が確立され、NRF2が新たながん治療標的分子として着目されるようになりました。このNRF2活性化がんを標的とした分子標的治療を目指して、キノン化合物を抗がん剤として利用する研究も進めております。 このように、受賞者は環境化学物質の毒性研究を起点に、ヒトの健康増進に貢献する研究を精力的に進めており、今後も益々の活躍が期待できる研究者です。
日本動物実験代替法学会 第9回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:岩田圭一(住友化学�蠡緝充萃�役社長)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本動物実験代替法学会(理事長:板垣 宏、以下「JSAAE」)内に設立した日化協LRI賞※1の第9回目の受賞者を決定いたしました。
授賞式は、11月29日(金)〜12月1日(日)にライトキューブ宇都宮で開催されるJSAAE第37回大会にて執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 小島 伸彦 (こじま のぶひこ)
横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科
生命環境システム科学専攻・教授
[テーマ] 凍結保存したヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞の3次元凝集制御による肝代謝機能の強化と維持
[受賞理由]受賞者は、3次元培養技術についてユニークな方法論を開発してきました。具体的には、細胞の瞬間接着剤を開発し、わずか1分でスフェロイド(細胞凝集体)を作製する技術を発表しました。また、その技術をさらに発展させ、メチルセルロースを分散した培地による強制的な細胞凝集技術を開発してきました。この手法は接着力の異なる細胞や接着性のない人工材料、細胞マトリックスなどの凝集に適しており、アイデア次第で様々な組織・臓器モデルを作製可能な方法です。
このように、受賞者は、動物実験代替に不可欠なヒト細胞の3次元培養による技術開発を精力的に進めており、今後もますますの活躍が期待できる研究者です。
日本毒性学会 第10回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:福田信夫(三菱ケミカル�蠎萃�役相談役)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:務台 衛)内に設けられた日化協 LRI※1 賞の第10回受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、2024年7月3日(水)〜7月5日(金)に福岡国際会議場で開催される第51回日本毒性学会学術年会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 篠田 陽 (しのだ よう)
東京薬科大学 薬学部 公衆衛生学教室・准教授
[テーマ] メチル水銀による抹消感覚神経障害とその回復機構
[受賞理由]受賞者は、人の健康に及ぼす化学物質の影響に関する研究において、それまでに培ってきた有機化学、神経科学、生理学、細胞生物学領域の知識・経験を活かすことで、環境汚染物質であり、水俣病の原因物質であるメチル水銀の神経毒性発現メカニズムに関する研究を精力的に展開してきました。特に、これまでにほとんど注目されてこなかった末梢神経系へのメチル水銀の毒性発現メカニズムに関する研究において、ラットやマウスを用いた免疫組織学的な検討や行動解析、遺伝子発現解析などの手法を活用して、毒性発現様式や毒性発現メカニズムの一部を解明しました。本研究分野での今後ますますの活躍が期待できる研究者です。
日本動物実験代替法学会 第8回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:福田信夫(三菱ケミカル�蠎萃�役相談役)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影 響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本動物実験代替法学会(理事長:板垣 宏、 以下「JSAAE」)内に設立した日化協 LRI 賞※1の第 8 回目の受賞者を正式に決定いたしました。
授賞式は、11月27日(月)〜29日(水)に千葉大学で開催されるJSAAE第36回大会にて執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 飯島 一智 (いいじま かずとし)
横浜国立大学大学院工学研究院・准教授
[テーマ] Fabricating a novel three dimensional skin model using silica nonwoven fabrics(SNF)
(邦 題) シリカ不織布(SNF)を用いた新たな三次元皮膚モデルの開発
[受賞理由]受賞者は、三次元細胞足場、具体的にはシリカナノ不織布や多糖ハイドロゲルなどの開発と、それらを用いた立体組織の開発、特に高機能三次元皮膚モデルの開発に取り組んできた。近年では、単球系細胞株 THP 1 細胞を用いたナノマテリアルの抗原提示細胞活性化能評価法の開発や、気管支モデルとTHP 1 細胞との共培養系を用いたナノマテリアル吸入毒性評価法の開発にも取り組んでいる。
このように受賞者は、三次元細胞足場材料作製の立場から皮膚モデル等の開発に取り組み、今後も細胞足場作製と高機能化立体組織の作製を通して様々な in vitro 評価系開発への貢献が見込まれる。
動物実験代替法の開発だけでなく、その実用化への貢献も含め、今後も益々の活躍が期待できる研究者である。
日本毒性学会 第9回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:福田信夫(三菱ケミカル�蠡緝充萃�役)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:務台 衛)内に設けられた日化協 LRI※1 賞の第9回受賞者を次のとおり決定しました。

授賞式は、2023年6月19日(月)〜6月21日(水)にパシフィコ横浜 会場センターで開催される第50回日本毒性学会学術年会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 西田 基宏 (にしだ もとひろ)
九州大学 大学院薬学研究院 教授
[テーマ] 環境化学物質による心臓の頑健性低下の分子機構解明と心不全重症化の予防・治療戦略の構築
[受賞理由]受賞者は、活性酸素の標的分子が3量体Gタンパク質のαサブユニットであることを見出すとともに、Gタンパク質H-RasやDrp1が普段の生活の中で曝露されうる環境化学物質(有機水銀やアルデヒドなど)によって活性化されることや、これが心臓のストレス抵抗力を低下させる原因となることをマウス・ラットの心臓を用いて明らかにしました。
また、ポリ硫黄鎖(超硫黄分子)に着目し、生体内の超硫黄分子が環境化学物質のレセプターとなり、その中和・排泄に働くのみならず、タンパク質型超硫黄鎖の脱硫黄化を介して、ミトコンドリアの品質を低下させ、心臓の頑健性を減弱させる可能性があること、細胞内の超硫黄分子量の確保が心疾患の発症リスクを軽減する戦略につながる可能性があることなどの画期的な知見を報告しています。
日本動物実験代替法学会 第7回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:福田信夫(三菱ケミカル�蠡緝充萃�役)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本動物実験代替法学会(理事長:板垣 宏、以下「JSAAE」)内に設立した日化協LRI賞※1の第7回目の受賞者を正式に決定いたしました。

授賞式は、11月18日(金)〜20日(日)に静岡県立大学で開催されるJSAAE第35回大会にて執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 西川 昌輝 (にしかわ まさき)
東京大学大学院工学系研究科・講師
[テーマ] Accurate Evaluation of Hepatocyte Metabolisms on a Noble Oxygen-Permeable Material with Low Sorption Characteristics.
(邦 題) 薬物収着の抑制と酸素供給フラックスの制御に着目した高機能
      肝細胞培養系の開発適用範囲拡大と予測性検証
[受賞理由]動物実験代替法として、培養肝細胞を用いた中長期の代謝や毒性評価の重要性がますます高まっている中で、候補者は肝細胞への酸素供給の重要性に早くから着目し、生体内外における肝細胞機能の乖離を埋めるべく培養系の改善に取り組んできた。さらに、最近報告した新規素材を使った培養系は、簡便でありつつも正確かつ長期に肝細胞の代謝や毒性評価が可能な系であり、広く普及する基盤技術となる可能性を有している。このように、受賞者は、動物実験代替法として利用可能な様々なin vitro評価系開発への貢献に寄与しており、今後ますますの活躍が期待できる研究者である。
日本毒性学会 第8回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:森川宏平(昭和電工�蠡緝充萃�役会長)、以下「日化協」)は、このたび、一般社団法人日本毒性学会(理事長:菅野 純)内に設けられた日化協 LRI※1 賞の第 8 回受賞者を次のとおり決定しました。

授賞式は、2022年6月 30日(木)〜7月2日(土)に札幌コンベンションセンターで開催される第49 回日本毒性学会学術年会において執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 黄 基旭 (ふぁん ぎうく)
東北医科薬科大学 薬学部 教授
[テーマ] メチル水銀による脳内炎症応答を介した毒性発現機構の解析
[受賞理由]メチル水銀は水俣病の原因物質として広く知られていますが、水俣病の発症から半世紀以上が経過した現在も、その毒性発現機構や防御機構はほとんど解明されていません。受賞者は、タンパク質の翻訳後修飾の一種であるユビキチン化やパルミチン酸化などが、メチル水銀毒性に関与する細胞内タンパク質のレベルや機能を調節することによってメチル水銀毒性の発現調節に関与していることを初めて明らかにするなど、メチル水銀毒性の発現機構を解明するうえでの突破口ともなり得るいくつかの貴重な知見を導き出しました。また最近は、メチル水銀を投与したマウス脳内で多数の炎症性サイトカインやケモカインが発現誘導されることで脳神経障害を引き起こすことを見いだし、その一部に関わる分子機構を明らかにしました。これまで日本毒性学会奨励賞や日本毒性学会田邊賞をはじめ多くの賞を受賞されており、一貫してメチル水銀の毒性に対する感受性決定機構の研究に取り組まれてきた功績が高く評価されました。
日本動物実験代替法学会 第6回 日化協LRI賞
一般社団法人日本化学工業協会(住所:東京都中央区、会長:森川宏平(昭和電工�蠡緝充萃�役社長)、以下「日化協」)は、研究者奨励および育成の一環として、“化学物質が人の健康や環境に与える影響”に関する優れた業績をあげた研究者を表彰するため、日本動物実験代替法学会(会長:酒井康行、以下「JSAAE」)内に設立した日化協LRI賞※1の第6回目の受賞者を正式に決定いたしました。

授賞式は、11月11日(木)〜13日(土)にハイブリッド形式で開催されるJSAAE第34回大会にて執り行われます。

※1 Long-range Research Initiative=長期自主研究活動

[受賞者] 安保 孝幸 (あぼ たかゆき)
花王株式会社 安全性科学研究所
[テーマ] in vitro眼刺激性試験Short Time Exposure法における高揮発性物質の適用範囲拡大と予測性検証
[受賞理由]in vitro眼剌激性試験であるSTE法に関する研究を精力的に進め、STE法のOECDテストガイドライン採択に貢献した。その後も研究を継続し、高揮発性物質への適用範囲拡大を達成した。さらには、医薬部外品・化粧品の安全性評価におけるSTE法のガイダンス策定にも関与し、現在はCosmetics Europeと共にSTE法と他のin vitro試験法を組み合わせた評価体系のOECDテストガイドライン化に向けて国際的に活躍している。試験法開発だけでなく、その実用化への貢献も大きく、今後もますますの活躍が期待される。
日本毒性学会 「第7回 日化協LRI賞」 研究受賞者決定
[受賞者] 西村 泰光 (にしむら やすみつ)
川崎医科大学 衛生学 准教授
[テーマ] 悪性中皮腫発症に関わる石綿曝露が及ぼす免疫抑制影響の解析
[受賞理由]石綿(アスベスト)は、欧米諸国や日本においては全面的に使用が禁止されていますが、世界的には中国・インドなどのアジア諸国やロシアにおいて未だ大量に使用されています。また、悪性中皮腫が曝露開始後約40年を経て発症することから、石綿曝露による健康障害については日本をはじめとする各国で大きな関心事であり続けています。受賞者は、リンパ球各細胞集団への石綿曝露影響および悪性中皮腫患者の末梢血リンパ球機能の解析に一貫して取り組み、これらの特徴的な機能変化を明らかにしました。これによって、従来、石綿の発がん性のみから説明されてきた悪性中皮腫発症機序に“石綿曝露の免疫抑制作用”の作用点が新たに書き加えられ、石綿曝露者における悪性中皮腫発症の理解に大きな影響を与えました。関連する学会からの受賞も多く、石綿曝露の免疫機能への影響に関する研究に取り組まれてきた功績が高く評価されています。
日本動物実験代替法学会 第5回 日化協LRI賞
[受賞者] 山本 裕介 (やまもと ゆうすけ)
富士フイルム株式会社 ESG推進部 環境・品質マネジメント部 安全性評価センター
[テーマ] Expanding the applicability of the amino acid derivative reactivity assay : Determining a weight for preparation of test chemical solutions that yield a predictive capacity identical to the conventional method using molar concentration and demonstrating the capacity to detect sensitizers in liquid mixtures
皮膚感作性試験代替法ADRAにおける適用範囲の拡大:重量濃度で調製した被験物質溶液を用いた試験条件の開発と疑似混合液を用いた皮膚感作性評価能力の検証
[受賞理由]皮膚感作性試験代替法(ADRA)に関する研究を精力的に実施し、その成果により2019年6月にOECDの試験法ガイドラインに本法が採択された。企業に属しながら5報の論文の筆頭著者であるとともに直近2年間に10報もの論文発表に関与するなど、優れた学術的業績を残した。動物実験代替法の開発・実用化への貢献は大きく、今後もますますの活躍が期待される。
日本毒性学会 第6回 日化協LRI賞
[受賞者] 角 大悟 (すみ だいご)
徳島文理大学 薬学部 准教授
[テーマ] 慢性ヒ素中毒の発症機構と生体応答に関する研究
[受賞理由]化学物質の安全性評価において、人への影響及び詳細な作用機構を把握することは非常に重要です。今回授賞の研究は、ヒ素毒性の発現機序にとどまらず、毒性軽減、解毒機序までの幅広い研究が行われ、主に次のような業績が評価されました。
 ヒ素化合物の毒性発現を左右する因子として、ヒ素の輸送機構と解毒機構に着目し、抱合と排泄を促進する転写因子Nrf2がヒ素毒性の軽減因子として働くことを明らかにした。また、慢性ヒ素ばく露による心毒性とNrf2活性化能の関連を示し、Nrf2がヒ素化合物の蓄積、毒性発現に中心的な役割を果たすことを示し、ヒ素化合物の毒性メカニズム解明に貢献した。
 ヒ素の解毒に関わるヒ素メチル基転移酵素の発現調節機構の研究から、mRNAの選択的スプライシングが解毒機能の低下を引き起こすことを示し、多くの化学物質の毒性発現機構における新しいターゲットとして、毒性発現機構解明への貢献が期待される。
日本動物実験代替法学会 第4回 日化協LRI賞
[受賞者] 寒水 孝司 (そうず たかし)
東京理科大学 工学部 情報工学科
[テーマ] Interval estimation of the 50% effective time in small sample assay data
(邦題)小標本データにおけるEffective Time 50 (ET50) の区間推定法
[受賞理由](主に以下の業績が評価されました。)
動物実験代替のための試験法を広く実用化するためには、バリデーションと呼ばれる科学的評価プロセスが必須である。受賞者は,各種代替法(LLNA-DA法、LLNA:BrdU-ELISA法、STE法、Vitrigel-EIT法、ADRA法など)のバリデーションと皮膚刺激性試験代替法(EPISKIN、EpiSkin、EpiDerm SIT法など)の第三者評価について、医療統計学の専門家として大きく貢献してきた。受賞テーマである「小標本データにおけるEffective Time 50 (ET50) の区間推定法」は、実験条件である比較的少数の測定時点と組織数から得られるデータ数であっても,皮膚刺激性試験代替法の指標(50%細胞生存率)を安定的に偏りなく区間推定(95%信頼区間の構築)できるようにした。これにより、ヒト表皮モデルの効率的な使用が可能になり、試験法の有用性が大きく向上したことが評価された。また、バリデーション、第三者評価、統計的研究を通じて動物実験代替試験法の開発と実用化に大きく寄与してきており、今後も更なる貢献が期待される。
日本毒性学会 第5回 日化協LRI賞
[受賞者] 古武 弥一郎 (こたけ やいちろう)
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 教授
[テーマ] 化学物質神経毒性の分子基盤解明と毒性評価指標の開発
[受賞理由](化学物質の安全性評価において、人への影響及び詳細な作用機構を把握することは非常に重要です。今回授賞の研究は、主に以下の2点の業績を高く評価しました。)
有機スズ等神経毒性を有する化学物質が、生体内に存在するグルタミン酸受容体(GluR2)のタンパク質レベルを減少させることを見出す等、化学物質の神経毒性メカニズムの解明に貢献した。
化学物質の神経毒性評価において、GluR2の発現低下が評価指標として有用であることを示した。この評価指標を用いることでin vitroでの鋭敏な神経毒性の予測評価手法として実用化が期待できる。
日本動物実験代替法学会 第3回 日化協LRI賞
[受賞者] 古水 雄志 (こみず ゆうじ)
崇城大学 生物生命学部 応用生命科学科
[テーマ] Maintenance of Viability and Functional Expression of
Cryopreserved Human Hepatocytes using Silicate Fiber-based
Three-dimensional Scaffold
(邦題)「シリカファイバー三次元培養担体を用いたヒト凍結肝細胞の生存
および機能発現の維持」
[受賞理由](主に以下の業績が評価されました。)
化学物質の肝毒性を評価するためには、ヒト肝細胞の生存および機能維持の培養法の確立が必須である。本研究課題は三次元培養を用いたヒト凍結肝細胞の生存および機能維持について明らかにし、肝細胞を用いた試験系の確立に大きく貢献した。また、ヒト肝がん細胞の三次元培養系を用いた抗がん剤の薬剤耐性の発現をin vitro で再現し、薬剤耐性阻害剤の新規スクリーニング系の開発を行っている。
上記から、ヒト肝細胞の三次元培養を中心とした代替法の研究に大きく寄与しており、今後も更なる代替試験法開発への貢献が期待できる。
日本毒性学会 第4回 日化協LRI賞
[受賞者] 中西 剛 (なかにし つよし)
岐阜薬科大学 衛生学研究室 准教授
[テーマ] 核内受容体作動性ハザードによる生殖発生毒性およびその評価系構築に関する総合研究
[受賞理由](主に以下2点の業績が評価されました。)
化学物質の安全性評価において、人への影響及び詳細な作用機構を把握することは非常に重要です。受賞者は、化学物質の有害性の作用点として、発生、恒常性や代謝など生命維持の根幹に係る遺伝子転写に関与している細胞核内の受容体(核内受容体)に着目して、有機スズや代替ビスフェノールAの生殖発生毒性について優れた研究成果を挙げています。さらに、近年では、エストロゲン様化学物質における低用量影響問題の解決をはかるため、新しい視点で正確に有害性評価できるin vivo試験系の構築に取り組んでいます。 以上のように、化学物質のリスク評価における難問に果敢に挑戦する姿勢が高く評価されました。
日本毒性学会 第3回 日化協LRI賞
[受賞者] 吉成 浩一 (よしなりこういち)
静岡県立大学薬学部 教授
[テーマ] 薬物代謝及び核内受容体研究を基盤とした化学物質の肝毒性発現機序解明と評価予測系開発
[受賞理由](主に以下2点の業績が評価されました。)
化学物質の代謝は、毒性発現の組織や毒性の強度、種差・個体差等を決定する主要な因子であり、代謝を理解することは化学物質の安全性の評価・予測において非常に重要です。受賞者は、代謝研究を通じて、化学物質の生体影響の評価や毒性発現機序解明における優れた研究成果を挙げ、それをもとに独創的なアイデアに基づいた新規毒性予測手法・動物実験代替法に取り組んできました。また、LRIテーマとしても採択された実績があり LRI の発展におおいに貢献をしてきた他、毒性学会においても各種委員を歴任し貢献されています。
日本動物実験代替法学会 第2回 日化協LRI賞
[受賞者] 藤堂 浩明 (とうどう ひろあき)
城西大学 薬学部 薬粧品動態制御学研究室 准教授
[テーマ] Utilization of Reconstructed Cultured Human Skin models as an Alternative Skin for Permeation Studies of Chemical Compounds
(化学物質の皮膚透過試験における代替皮膚としての再構成培養ヒト皮膚モデルの利用に関する研究)
[受賞理由](主に以下2点の業績が評価されました。)
1. ヒトおよび動物皮膚の代替膜である3次元培養ヒト皮膚モデルや人工膜モデルを用い、これら代替膜を用いた皮膚適用製剤の評価法について研究、その結果および手法を広く共有化するために、様々な関連学会にて公表してきている。各種代替膜の特徴を科学的に比較検討した結果を示している研究は他になく、多くの研究者がこの報告結果をもとに試験を実施している。
2. 開発したin silicoモデルは、in vitro経皮吸収試験(in vitro皮膚透過試験)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスの附則に掲載されており、多くの研究者が利用できるようになっている。過去に皮膚中濃度を簡便に算出可能なin silicoモデルは報告されておらず、非常にインパクトがある報告だと考えられる。
日本動物実験代替法学会日化協LRI賞(第1回)
[受賞者] 大森 崇 (おおもりたかし)
神戸大学医学部附属病院 臨床研究推進センター 特命教授
[テーマ] コメットアッセイ※1JaCVAM※2 国際バリデーション研究※3 における中央値に
基づく再解析の結果
[受賞理由]
1. バリデーション研究における新規性・独創性、および試験法公定化への貢献、ガイドライン実用化へのインパクト等の評価を行った結果、本テーマにおけるJaCVAMバリデーションデータの統計解析研究はいずれにおいても高い評価を得た。
2. 日本で実施された多くの動物実験代替法のバリデーション研究に統計学者として関与し、OECDテストガイドライン※4の成立に多大なる貢献をしてきた。今後も更なる活躍が期待できる研究者である。

※1 コメットアッセイ:個々の細胞のDNA 損傷を直接検出する試験法。
※2 JaCVAM:Japanese Center for the Validation of Alternative Methods(日本動物実験代替法評価センター)、化学物質等の安全性評価における動物実験の3Rs(Replacement、Reduction and Refinement)促進と国際協調を重視した新規動物実験代替法の公定化を進めるための組織。
※3 バリデーション研究:新規試験法の公定化のため、精度、感度および特異性などを評価する研究。
※4 OECDテストガイドライン:化学物質やその混合物の安全性を評価するための国際的に合意された試験方法、法令(化審法、TSCA、REACH 等)で国際的に合意された試験方法。
日本毒性学会日化協LRI賞(第2回)
[受賞者] 小椋 康光
千葉大学大学院薬学研究院 教授
[テーマ] 金属化合物の新規化学形態分析法の構築と毒性発現機構解明における応用
[受賞理由] (主に以下2点の業績が評価されました)
(1) 生体に微量に存在する金属は、分析が困難なため、どのような化学形態で代謝、排泄されていくのか、全容が不明のものもありました。受賞者は、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)とエレクトロスプレーをイオン源とした質量分析装置(ESI-MS)の利点を活かし、相補的に使用する手法を開発し、生体の尿中に排泄されるセレン代謝物を同定する等、優れた実績を残しました。
(2) 従来と比べ1/500〜1/1000 の試料量でICP-MS 分析を可能とするシステムを開発し、培養細胞から得られる微量の試料での分析を実用化しました。本システムは、分析の高速処理化だけでなく、実験動物を代替する分析法として、既に研究に応用されています。
日本毒性学会日化協LRI賞(第1回)
[受賞者] 北嶋 聡
国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部 室長
[テーマ] 化学物質の有害性評価の迅速化、定量化、高精度化に関する研究

[受賞理由]
受賞者は、「ナノ材料のヒト健康に対する評価系開発」、「ヒト型モデル実験動物を用いる評価系開発」および「トキシコゲノミクス研究(毒性反応を単に現象としてではなく、遺伝子情報として分析することにより、動物種による反応性の違いなどを克服しようとする試み)」等で優れた業績を残されており、研究成果は、分子メカニズムに基づく化学物質の影響評価手法の開発に大きく貢献してきました。加えて、政府の審議会委員や教育者として化学物質安全に関して社会的にも貢献されています。
なお、授賞式は6月30日 金沢で行われる第42回日本毒性学会学術年会において執り行われます。
また、8月28日(金)東京ベルサール神田にて開催する日化協の「LRI第3期研究報告会」で受賞者による記念講演を予定しています。
[表彰式の模様]
第1回 日化協LRI賞表彰式
日化協では、「化学物質がヒトの健康や環境に及ぼす影響に関する研究を長期的に支援する」ためのLRIを運営しています。
本年度より、研究テーマとして採択する以外に、この分野で優れた研究実績を上げた若手研究者を支援、表彰する目的で「日化協LRI賞」を創設しました。本賞の創設は、LRIの研究対象分野として深いつながりがある日本毒性学会のご協力、ご理解の下、受賞候補者の選考を同学会に委嘱しています。
3月下旬〜4月上旬に、日本毒性学会ホームページ上で公募が行われ、学会内の日化協LRI賞選考小委員会において厳正なる選考を行っていただきました。
この結果、記念すべき第1回目の受賞者が、国立医薬品食品衛生研究所の北嶋聡先生に決定しました。受賞テーマは、化学物質の有害性評価の迅速化、定量化、高精度化に関する研究です。
6月30日、日本毒性学会学術年会において表彰式が行われました。

北嶋先生と西出専務(日化協)

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